切迫早産予防とプロゲステロン(黄体ホルモン)

今日はちょっとまじめにプロジェステロンの切迫早産予防法に関して、入院前、入院中に読んだ文献をフィードバック。
英語を読む気力が無く、日本の文献が多くなってしまったが、私が知りたかったことを調べたので、他にも同じようなことを知りたいと思っている人がいて、役に立てば嬉しい。

学会発表(ポスターも含めて)されたものが大半であると考えるが、学会や学会誌にもレベルがあるので、書いてあることが必ず正しいことではない、と分かって参考にしていただきたい。

論文を読むの面倒な人もいると思うので、ワタシ的まとめ↓

プロジェステロンに切迫早産予防効果はある?

  1. プロジェステロンは妊娠維持に必要。(バランスも大事)
  2. 切迫早産、不妊治療時の妊娠維持に関して、プロジェステロン投与が試験的に行われている。
  3. 投与経路は肝臓での代謝、分解を受けないため、経皮的(膣剤など)が圧倒的に効果的
  4. 多胎妊娠(双子とか)には効果がないか効果が薄い。
  5. 投与は28週くらいから(諸説あり)
  6. 子宮頸管無力症には効果がないか効果が薄い。
  7. 短くなった頚管長の延長作用はほとんどないが、子宮収縮(張り)を弱め、リトドリン、マグネシウム製剤の投与量を減少させる。
比較的新しい文献が多く、現段階では病院によって、取り扱っていない所の方が多いです。特に昔からある個人病院とかに期待するのは厳しいとおもいます。

プロジェステロンクリームは張りを減らす?

私はプロゲステロンクリームを使用しました。自己責任で。
個人差もあるし、プラセボ効果かもしれませんが、塗って2日くらいで張りがかなり落ち着きました(10回/時→3回/時)
購入時比較検討したのは下の3種です。

Now社のプロゲステロンクリーム

ワイルドヤム由来の天然ホルモンです。

Emerita社のプロジェストクリーム

1回分ずつの小分けパウチタイプもありました。パラベンフリーの記載があり安心感があります。

Source Natural社のプロジェステロンクリーム

大豆由来の天然ホルモンです。

結局、Emerita社とSourceNatural社のものを買いました。使用感(なめらかさ)はEmerita社の方が良かったです。
どちらも未滅菌なので足の付根と腹に塗りたくりました。お腹に近いほうが効果的かと思って…
残ったクリームは将来更年期障害になった時や、卒乳後のバスト維持に使う予定!
ホルモンに関して詳しく知りたい方は↓参考にして下さい。

参考文献リスト

【妊婦の薬物治療管理 リスクと不安を最小にするための基礎と実践】 妊娠に合併する疾患の治療戦略 切迫早産
    Author:青木 宏明(東京慈恵会医科大学 産婦人科学講座)
    Source: 薬局 (0044-0035)66巻1号 Page108-112(2015.01)

    切迫早産の治療は大きく、早産の再発を防ぐ治療、子宮頸管長短縮に対する治療、子宮収縮に対する治療に分けられる。早産の再発予防にはヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステルの投与が有用である。子宮頸管長短縮に対しては天然型プロゲステロンの腟内投与が有用である。

【性ホルモン製剤を使いこなす】 プロゲスチン製剤 特徴と使い方
        Author:木村 文則(滋賀医科大学 女性診療科)
        Source: 臨床婦人科産科 (0386-9865)68巻6号 Page544-551(2014.06)

プロゲスチンは,合成黄体ホルモン剤の総称であり,産婦人科疾患に用いられるのは,主にプロゲステロン誘導体であり,排卵障害,不妊,子宮体がん,婦人科良性腫瘍の治療や早産の予防に用いられる.各プロゲスチンの特性を理解し,疾患ごとに使い分けることは非常に重要である.

プロゲステロン投与により妊娠継続が可能であった子宮奇形合併妊娠の1例
        Author:北川 香里(四日市市立四日市病院 産婦人科)
        Source: 東海産科婦人科学会雑誌 (0915-7204)50巻 Page69-74(2014.02)

既往早産症例に対する予防的プロゲステロン投与は2003年に有効性が報告され、2011年にはFDAにおいて適応が認可された。本邦では積極的な投与が行われていないが、前回早産既往のある子宮奇形を伴う切迫早産症例にプロゲステロンを投与し、正期産までの妊娠期間の延長を認めた症例を経験したので報告する。

症例:30歳、1経妊1経産婦。前回妊娠時に、子宮口開大後、妊娠28週で前期破水
今回、
妊娠26週より頸管長短縮を認め、塩酸リトドリン内服
妊娠29週3日、性器出血。子宮収縮抑制薬(塩酸リトドリン、マグネシウム製剤併用) および腟洗浄と抗生剤腟錠投与を施行、入院管理
子宮収縮の頻度は減少したものの少量の性器出血が持続し、子宮収縮抑制薬投与にも関わら ず、頸管長の短縮を認めた。
妊娠30週1日より1週間に2回プロゲステロン125mg筋注を開始
投与開始4日後より頸管長の改善を認め、投与開始6日後には性器出血が消失。
子宮収縮の頻度も軽減し、塩酸リトドリ ンの投与量を減量しながらも妊娠期間を延長。
妊娠37週1日予定帝王切開術により出産。

当院における超早産予防のとりくみ 妊娠12~27週の切迫流早産入院症例の治療成績の検討
Author:福原 健(倉敷中央病院 産婦人科)
Source: 現代産婦人科 (1882-482X)63巻2号 Page231-236(2015.05)

当院では2011年以降、超早産予防として早産リスクセルフチェック、ハイリスク症例への黄体ホルモン投与、合成吸収糸による頸管縫縮術、ニフェジピンによる子宮収縮抑制などを導入した。
2010年と2013年の各1年間で妊娠 12~27週に入院した切迫流早産の治療成績を検討した。各年次の症例数は78例と73例で、早産リスクセルフチェック導入後、入院時の Tocolysis Index(TI)4以上の割合は11%から0%へ減少した。TI3以下の症例に対する黄体ホルモン、 吸収糸頸管縫縮術、ニフェジピンの適用率は、2010年0、0、2%から2013年24、24、27%と増加し、妊娠継続期間は有意に改善した (p=0.049)。リスクを把握した早期介入やTI3以下の切迫流早産例への新たな治療の適用が、成績向上に寄与する可能性がある。